歯科人材育成の德永です。
私には忘れられないNさんと言うチーフがいました。
そのチーフとの出逢いは私が独立して間もない頃です。
ある医院様の院長先生のご依頼で研修と個人の成長のための面談がスタートしました。
Nさんは歯科助手さんで勤務はそこの医院がオープンした時からのスタッフです。
もっと言ったら、その歯科医院がオープン前から勤務されていました。
というのも
そこの医院は居抜きで、3代目
最初の医院は50年前にそこの場所に歯科医院が開業
そこに、Nさんは勤務し始めました。
ところがとある事情により
その医院様は移転
その結果、その場所に別の歯科医院が開業
Nさんはその2代目の歯科医院さまに勤務
ところがその医院様も数年後事情により閉院
その後に開業された今の医院様にNさんは勤務
つまり
長年、そこの場所にNさんはそこの患者さんと共に歯科に携わっていました。
Nさんは
その歯科医院の院長より10歳年上でした。
患者さんもスタッフもNさんと仲良く、しかも年上…
でも
院長は絶大な信頼を寄せていました。
何故なら
院長を凄く立てていました。
そして
歯科衛生士さんも立てていました。
患者さんとの間に立ちながら役割を果たしていました。
「Nさん、Nさんの存在はここの医院になくてはならない人材ですね」
と会う度に私は話していました。
Nさんは決まってこう言っていました。
「私は何もしていないですよ。皆んなに感謝です。何もできない、資格もないただ長くここに居るだけなのにね。感謝しかないです。」
Nさんに聞いた事があります。
「Nさん、何を心がけているんですか?」
「私は資格もないし、知識もないから。ただ、患者さんやスタッフが大好きで、院長も頑張っています。こんな田舎なのに、歯科医院を開業してくださった。だから、皆んなが働きやすい事を私がするだけです」
感謝からいつもスタートをされていました。
忘れられない出来事があります。
ミーティングをしている中で
ある後輩の歯科衛生士さんが言いました。
「うちは何回も聞いても良いです。そういう文化なんです。ね、Nさん」
Nさんは
「そうよ、うちは何回聞いてもいいの。だって、私が何回も聞くんだもん(笑)ね、院長」
院長が
「Nさんが作ってくれた文化です。何回も聞いても良い文化なんです」
なかなかないです。
よく聞く言葉があります。
「一体、何回伝えたらいいの!いい加減覚えて!」
真逆を言っています。
そして
実はその安心感から
何回も聞いてくるスタッフがいないその歯科医院様
素晴らしい文化を作っていました。
そのNさんは実は…
1年前に他界されました。
癌でした。
癌とわかり希望を捨てず、治療しながら勤務してくださっていました。
働けなくてもいい、そこに座ってくれるだけでいいから
そんな思いで院長含め、全員がNさんの姿が存在が心の拠り所でした。
その後…
癌が転移し勤務することが難しくなった中で
Nさんの願い
「定年までいさせてください」
60歳まで頑張って勤務
その後、逆に訪問診療しながら
院長とスタッフはNさんの口腔ケアを最後まで関わりました。
Nさんとの最後の会話を覚えています。
「徳永さん、徳永さんと出逢って本当に良かったです。何も考えずい続けていた私が、実は意味がある事に気づかされました。私は皆んなの笑顔が見るのが好きです。ありがとうございました。」
何回聞いてもいいんだよ
Nさん
私が出来る事はNさんの思いや存在を
ずっと伝え続ける事
リーダーシップ
一言で言ったら
肯定的な影響力を持った人
来年、1月18日に4医院のシーダースップを発揮された方々の発表会を開催いたします。
泣いたり笑ったり
でも
乗り越えてきた
是非、お越しください。
Nさん、安心してね
何回聞いても良い文化は
あの後輩の歯科衛生士さんがしっかりt引き継いでいますよ。